伏見マップ
伏見は京都市南部に位置し、桂川・宇治川・木津川が合流して淀川となる水郷地帯にある。豊臣秀吉が伏見城を築いた1594年以降、城下町として発展し、酒造業も飛躍的に成長した。
伏見の水系
伏見は伏流水が豊富で、「伏水」の語源とも言われる。地下には醍醐山系・東山連峰からのミネラルを含んだ軟水が流れ、硬度は約40〜70mg/Lと灘の宮水に比べ格段に低い。この軟水は発酵をゆっくり穏やかに進め、まろやかで柔らかい「女酒」と称される酒質を生む。
御香水と伏見七ツ井
御香水は御香宮神社境内に湧く名水で、864年(貞観6年)に「芳香を放つ水が湧き出た」として清和天皇より「御香宮」の勅額を賜ったと伝わる。1985年に環境省「名水百選」に選定。
江戸時代、伏見には「七ツ井」と呼ばれる7つの名水が存在した。石井・竹中井・白菊井・春日井・常磐井・鳥涌井・御香水がそれで、各蔵元が独自の井戸を持ち水質の差で酒の個性を出していた。
三十石船と伏見の水運
江戸時代、伏見から大阪天満橋まで三十石船が定期運行していた。積載量約30石(5,400リットル相当)の小型船で、旅客・貨物を淀川経由で輸送。酒樽も大量に積まれ、伏見の酒は大阪・江戸へと広まった。片道約12〜15時間の行程であった。
主要蔵元一覧
| 蔵元名 | 創業年 | 代表銘柄 | 特記事項 |
|---|---|---|---|
| 月桂冠 | 1637年(寛永14年) | 月桂冠・鳳麟 | 世界最大規模の清酒輸出量、資料館「月桂冠大倉記念館」設置 |
| 黄桜 | 1925年(大正14年) | 黄桜・辛口一献 | かっぱカッパのキャラクターで知名度高い。黄桜カッパカントリー開設 |
| 玉乃光 | 1673年(延宝元年) | 玉乃光・純米吟醸 | 1964年に純米酒の復活宣言、純米造り一本化を早期に実現 |
| 英勲(齊藤酒造) | 1895年(明治28年) | 英勲・古都千年 | 京都府産米にこだわり、吟醸造りに注力 |
| 招徳 | 1645年(正保2年) | 招徳・純米大吟醸 | 伏見の老舗、小規模蔵として品質重視 |
| 松本酒造 | 1791年(寛政3年) | 澤屋まつもと | 宇治川近くの美麗な煉瓦蔵で有名、農口杜氏との縁 |